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徹底解説!三菱地所の企業分析!

三菱地所とは

三菱地所は、国内第2位の不動産デベロッパーです。
丸の内を起点とした、丸ビル・新丸ビルを始めとするオフィスビル開発や、「プレミアム・アウトレット」「MARK IS(マークイズ)」などの商業施設開発も手掛ける不動産デベロッパーです。

不動産デベロッパーの仕事は、「街をつくる」仕事です。
計画を立て、用地を取得し、建物を立て、テナントを呼び、イベントを開催する等、それらを通じ街を彩ります。

その結果として、ハードの「街」だけでなく、「人の賑わい」や「温かみ」などのソフト面の「街」もつくるのです。

よくデベロッパーは「指揮者」に例えられます。
数十年先の未来を見据え、街の地権者や行政を巻き込みながら、街をつくる仕事はまさに「指揮者」です。

三菱地所の事業内容

三菱地所の事業内容のうち、特に抑えておくべき2つのポイントを記載します。
1.コマーシャル不動産事業
2.住宅事業

一つずつ解説していきます。

1.コマーシャル不動産事業

コマーシャル不動産事業の内訳は下記の6つです。

①オフィスビル

丸の内を中心に、国内主要都市でオフィスビルの開発、賃貸、運営管理業務を展開しています。
丸ビルや新丸ビルを中心として、丸の内に様々な複合的なオフィスビルを保有しています。
丸の内以外の地域では、横浜や福岡、札幌など、様々な大都市圏にもビルを有しています。

2021年3月期決算では、オフィスビルについて、空室率は低位を継続し、賃料は上昇傾向と分析しています。

三菱地所は、コロナの影響を受けているものの、この1年で100億円程オフィス事業の売上が回復しています。
商業施設事業やホテル事業が大きく苦しむ中、盤石なオフィス事業が三菱地所を支えています。

丸の内は、日本最高のオフィス街であるため、世の中の不動産価値よりも非常に高いです。
そのため、空室率がなんと3%台(2021年度)です。
リモートワークが進んでも、丸の内にオフィスを持つ価値は未だに強くあるため、今後も盤石な収益基盤が見込まれます。

また三菱地所が保有する1.2兆円の資産のうち、約7割がオフィスビルです。
まさにに事業の大黒柱であり、最も稼ぎ頭の事業です。
今後も大型PJを着実に遂行し、資産を増やして行くようです。

また三菱地所のオフィスビルへのこだわりは非常に高いです。
圧倒的な収益基盤を持つため、様々なこだわりをビルに作ることができるのです。
ここでは三菱地所のこだわりの例を1つ紹介します。

31mライン

丸の内にある三菱地所の建物は、低層階と上層階がわかりやすい構造担っています。
これは地上から31mのラインに段差を作っているためです。
実はこの段差は、通称「31mのライン」と呼ばれています。

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この31mラインは、実は三菱地所のカルチャーが詰まったものです。
1919年の法律で、当時ビルは31mに制限されていました。
当時の丸の内は、この法律によって31mの建物が並んだオフィス街でした。
当時の街並みやそこに集う人の想いを引き継ぐため、今でも丸の内のビルはすべて31mラインを残し、当時の空間を引き継いでいるのです。
まさにこれが三菱地所のスローガンである、「街を想う力」の好例です。
盤石な収益基盤があるからこそ、こういったこだわりを街並みに反映できるのです。

余談ですが、大手不動産デベロッパーの住友不動産のほぼ全てのビルが、一面ガラス張りのオフィスビルです。

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これにより、余計な装飾を行わず、コストを抑えたオフィスビルの建築が可能です。
住友不動産はこのように経済合理性を追求した不動産開発を得意にしています。
ここが「街を想う力」を大切にしている三菱地所との相違点です。
住友不動産の方が営業色が強く、よりゴリゴリした社風である点も特徴的です。
興味がある方はチェックしてみてください。

②商業施設

三菱地所は、大都市圏を中心に、全国で商業施設・アウトレットを開発しています。
丸の内では、丸ビルや新丸ビルの他に、TOKIA・オアゾ・丸の内ブリックスクエアなど様々な商業施設を有しています。
加えて、大型商業施設では、MARK ISやプレミアム・アウトレットなどの商業施設が有名です。
一方で、南砂町のSUNAMOや東久留米のクルネなど、地域に根ざした商業施設も展開しています。
それぞれの商業施設に、様々な意図を持たせて街づくりをしている点が三菱地所の特徴です。
私の就活時の体験談をまとめましたので、詳細が知りたい方はご覧ください。

【OB訪問の体験談】
私は商業施設関係者に何人もOB訪問しましたが、担当者の皆さんが三菱地所としての想いを大切にしている印象を受けました。
私がOB訪問で、印象に残った話を2つ共有します。

①商業施設のテナント契約について
商業施設担当の方に、仕事の上でのやりがいを聞いた際、下記のようなエピソードを話していました。

その担当者さんは、商業施設のテナント契約の際に、あえて安価なテナントと契約するため、周りの関係者や社内を調整し、出店してもらったそうです。
三菱地所としては、テナントの収益が上がることが望ましく、できる限り高価格帯の商品が並んでいたほうが利益に繋がります。
しかし「顧客への価値」を考えて、周りを巻き込みながら、あえて低価格帯のテナントとの交渉を実行したそうです。
確かに、ルイヴィトンが好きな人でもユニクロは買います。
つまり、高価格帯のターゲットでも、低価格帯の商品を求めることはあります。
商業施設全体として、顧客に対しての価値を最大化するためにこのような議論を行ったのです。

顧客のために人を巻き込んで、実際にテナントを呼び込み、そのテナントでお客さんが嬉しそうに過ごしている光景を見て、とてもやりがいを感じたそうです。

このように顧客の消費行動を考えた上で、目先の利益に囚われすぎず、総合的な価値提供を行えるのが、三菱地所です。

南砂町のSUNAMO全国展開の大型商業施設MARK ISの違い
三菱地所は、地域に根ざしたSUNAMOのような商業施設と、MARK ISのような全国ブランドの商業施設を有しています。

就活時の私は、『三菱地所が、業界首位の三井不動産に勝つためには、三井不動産の代表的な商業施設である「ららぽーと」に負けない集客力をもつ必要がある』と考えていました。
そこで三菱地所の商業施設である、MARK ISやSUNAMOなどの三菱地所の様々な商業施設を見学をしました。
その時、あることがわかりました。

SUNAMOは、南砂町という地域柄もあり、丸の内の三菱地所のイメージとは違い、庶民的なテナントでした。
一方でMARK ISは施設が新しく、流行りのブランドも多数あり、非常に高揚感がある商業施設でした。

そこで私は下記の疑問を持ちました。
「大型商業施設は、全てMARK ISブランドで統一することでららぽーとに伍する規模になるのではないか。SUNAMOで、なぜMARK ISのような統一ブランドを使わなかったのか。」

この点を踏まえOB訪問で質問をした所、社員さんはこのように答えました。
「南砂町に『SUNAMO』という名前の商業施設を作ったことからも分かるように、地域との繋がりを大切にし、地域住民のために商業施設を作ったからだと思う。それが、三菱地所のコーポレートスローガンである『人を想う力・街を想う力』。MARK ISを福岡に作ったように、MARK ISにも力を入れているけど、「その街の人を大切にする」カルチャーがあると思う。」

このように一つの商業施設を取っても、様々な観点で意図考えることが可能です。ぜひ物件見学やOB方訪問を大切にしてください。

③物流施設

「ロジクロス」シリーズを柱 に物流施設の開発、リーシング、運営管理を実施しています。
AmazonなどのEコマースが発展してくる中で、物流のニーズが高まっています。
物流会社は、需要の高まりにつれて、従業員がより働きやすい環境を求めるようになりました。
そのため、三菱地所は、倉庫で働く従業員に取って快適な休憩室の提供や、スムーズな導線設計を行った物流倉庫を提供しています。

【OB訪問の体験談】
私がOB訪問した社員さんは、ロジクロスの事業について、「2014年に始まった新しい事業。そのため自分が矢面に立って事業を進めるから最も楽しかった」と話していました。
デベロッパーが手掛けてきたこれまでのビジネスとは違い、前例が少ないからこそ、自らの手でビジネスを進めていく余白があるようです。
特にロジクロスは、物流施設という性質上、オフィスビルや商業施設の開発とは異なる点があります。
例えば物流倉庫は郊外にあるため、土地の確保という観点では、坪当たりの購入価格は抑えやすいです。
一方で、多数のトラックが地域に来ることに繋がるため、粉塵や排ガスの被害が出る可能性があります。
また道路の幅が大きくないとトラックが通れません。
そのため、地域住民、警察、自治体などと交渉しながら、開発を進めて行く必要があります。
私はOB訪問をするまで、物流施設に対しての興味がありませんでした。
しかし、あまりに楽しそうに話をする三菱地所の社員さんを見て、非常に驚き、感心しました。

④ホテル

三菱地所は、ロイヤルパークホテルズグループとして国内でホテルを展開しています。
コロナで大きな影響を受けていましたが、少しずつ回復傾向にあります。
ホテル事業は、東京オリンピックを見据え数年前から力をかなり入れていました。
しかし、コロナによって、期待していたインバウンド集客はできず大誤算に終わってしまいました。
2020年5月の宿泊稼働率が1.4%だったことからもかなりの痛手を追っていることが分かります。
また2021年度は宿泊稼働率が50%を超えていることが多いですが、今後も不透明な状況であることに変わりはありません。

⑤空港

三菱地所は、2018年度より空港運営事業を開始し、現在は国内10空港の運営に携わっています。
地元と一体となって交流人口の増加を図り、地域の価値を向上させるために地域活性化を行っています。

三菱地所の持つアウトレットなどの商業施設を空港に出店し、収益の向上を目指しています。

私が聞いた裏話としては、この空港の開発は熾烈なコンペになるそうです。
デベロッパーだけでなく総合商社やその他大手企業も参入し、「異業種格闘技」のようになるためです。
よって、数社が集まったグループとして、運営を担うことがあります。

実際に、北海道7空港の民営化の際は、三菱地所や東急などの17社が運営事業者として勝ち残り、現在、一体として運営を行っています。

2.住宅事業

三菱地所は、分譲マンション事業「ザ・パークハウス」、賃貸マンション事業「ザ・パークハビオ」を展開しています。

現在は、分譲マンション事業の売上戸数が数年停滞しています。
この点は、経営資料で「一時的な落ち込み」としており、再開発案件で今後の利益の拡大を狙っているようです。
また売上戸数は減少しているものの、不動産価格の向上により、売上金額の観点では不調ではありません。

一方で、分譲マンションの売上戸数としては、野村、住友、三井についで第4位であり、トップシェアではない状況です。
マンション事業に強いこだわりがある学生は、野村不動産を見てみてください。

尚、最近の三菱地所は「省エネ」に注力しています。
建物の「省エネ」性能を上げ、太陽光発電などにより自らエネルギーを創り出す「創エネ」に力を入れており、従来の自然エネルギー消費量の50%削減を実現しているそうです。
この取組は住宅だけでなくオフィスビルでも行っており、今後も進んで行くことが予想されます。

三菱地所の特徴

三菱地所は経営資料で、自社の強みを下記のように表現しています。

「“超長期視点でのまちづくり”と“時代を先取りするDNA” “膨大なエンドユーザーとの接点”と“膨大な不動産への関与”」

この点は、丸の内仲通りや新丸ビルに行くと分かります。

①丸の内仲通り

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丸の内仲通り

丸の内の仲通りでは、日々目新しいイベントが開催されており、多くの人が集います。

ときには、グランドピアノが置かれていたり、焚き木を模したモニュメントが設置されていたりします。

また様々な美術品が仲通りに置かれ、空間を彩っています。

そこで多くの人が集い、くつろぎ、賑わっています。

ぜひ昼と夜それぞれで仲通りを通ると三菱地所の様々な取り組みが行われているため、ぜひ見てみてください。

②新丸ビル

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先進的な防犯ロボット

新丸ビルでは、上記のような防犯ロボットやお掃除ロボットが活用されています。

ロボットを使った実証実験は、三菱地所が競合に先駆けて実施しています。

また丸の内のオフィスビルの省エネ・再エネ化を推し進め、世の中の潮流を読んだ、取り組みを進めています。

https://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec210121_renewable_electricity.pdf

街というハードを持つ強みを活かし、様々な企業とタッグを汲んで新たな取組を開始できる点が、三菱地所の強みです。

三菱地所の選考体験記

https://note.com/embed/notes/n18ba50aac5ab

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