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オリックスの企業研究

オリックスとは

オリックスは日本に「リース」の概念を広げた会社です。
「リース」とは、新品の機械や設備を主に長期間で貸し出し、手数料を取るビジネスモデルです。
アメリカで成長していたリース産業をいち早く日本に取り入れ、日本にローカライズして成長して行きました。

●オリックスは、日本人の考え方を変えた
オリックスは「所有すること」へのこだわりが強かった1960年代の日本において、「所有ではなく借りる」をという概念を作った企業とも言えます。
今のGAFAが多くの人々に影響を与えているように、オリックスも顧客の考え方を変え、社会に新たな価値を提供していきました。
リース事業が生み出した「価値」については後述します!

●現在の事業内容
オリックスは現在下記のような事業を展開しています。

【オリックスの事業内容(例)】
・法人金融
・産業/ICT機器
・環境エネルギー
・自動車関連
・不動産
・事業投資
・銀行
・生命保険

上記のように多岐に渡るビジネス展開を行っています。
オリックスの事業は、それぞれが一見関係ないような事業を展開していますが、共通する点があります。
それは、リース事業を中心として事業を育ててきた点です。
オリックスは、リース事業で得た知見を活かしながら、時代の変化に合わせてビジネスを生み出して来ました。
そのため、まずリース事業をよく理解することがオリックスの事業を理解することに繋がります。

オリックスのリース事業とは

●リース事業の強み
リースにはファイナンス・リースと呼ばれるように金融的側面があります。
下記のようなケースでは、オリックスのファイナンス・リースが活躍します。

【ケース】
事業会社A社が不動産開発を行うため、オフィスビルの購入を検討した。
不動産購入には多額の資産が必要となるため、メガバンクに融資を依頼。
しかし事業会社A社はすでに、メガバンクから多額の融資を受けており、追加融資を断られてしまった…。

そこで、オリックスのファイナンス・リース部隊が登場します。
オリックスは先述のケースに置いて、下記のように対応します。

【リース契約の流れ】
①事業会社A社はオフィスビルの選定を行います。
②オリックスはそのオフィスビルを購入します。
③オリックスは事業会社A社とリース契約を結びます。
④事業会社Aはリース料をオリックスに払い、オフィスの運営を行います。

結果として事業会社Aは頭金を抑えてオフィスビルの運営が可能です。

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オリックスのHPより引用

このリース契約の強みは、顧客が大きな金額を使わずに新品のままでサービスを使える点です。
そして、モノを所有すると損害保険料や固定資産税が発生してしまいますが、事業会社がリースを利用することで、その煩雑な対応を行わずに済むのです。
また、契約期間満了後、1年ごとに契約を延長することも出来ます。
そしてサービスの購入価格を超える手数料を払った場合、リース会社へ所有権利を移管する契約も可能です。

オリックスのリース事業の価値はここにあります。

つまりオリックスの顧客から見れば、リース契約によって、大きな金額を投資するリスクを減らしつつ、自社の成長戦略のアクセルを踏む役割を叶えているのです。

オリックスの強み

●オリックスの「モノ」に関する専門性
先述のように、オリックスの主軸事業であるリース事業とは新品の機械や設備を主に長期間で貸し出し、手数料を取るビジネスモデルです。
また手数料を取るだけでなく、貸し出していた商品を中古品として売却することが出来ます。
この「リース」というビジネスモデルは、様々な機械、設備で適用することができました。
そこでオリックスは扱う「モノ」を増やしていきサービスの幅を増やしていきました。
機械設備から始まり、船舶、自動車、航空機、不動産と「モノ」を増やして行ったのです。
扱う商材を増やしていった結果、オリックスはリース事業を通じて「モノを取り扱う専門性」を得ることが出来ました。
具体的例をあげて説明します。
不動産のリースを行う際には、下記のような項目で検討を行います。

【不動産のリース契約を行う際の検討事項(例)】
・取り扱う不動産の現在価値はいくらか
・何年間使えるのか
・リース後の資産価値はいくらか
・リース契約を行った後にどのように資産を処理するのか
・現在の不動産トレンド
・今後の不動産の需要の伸び

このようにオリックスは、リース契約を通じて、「モノ(不動産)」自体の知識を獲得出来たのです。
そして、リース契約を行って行く中で、リースだけでなく「融資」や「ローン」「投資」に関する知見を得て行きました。
これがオリックスの事業の展開の基軸の部分です。

つまりオリックスは、リース事業を元に、「金融面の専門性」「モノを扱う専門性」を武器に事業拡大を行ってきた会社なのです。

●営業を大切にする、ガツガツしたカルチャー
オリックスは、リースを日本にもたらした後に、いざなぎ景気の波の乗り、営業拠点を増やして行きました。
この際、他の商社等の会社を使わずに自らの力で営業拠点を増やして行きました。
ここにオリックスのカルチャーが見えてきます。
他の会社を経由して営業拠点を増やしていく方が、スピード感を持って営業をかけることが出来ます。
しかし、それでは高利益を得られず、「カルチャー」が育ちません。
このカルチャーとは、オリックスが「ビジネスの種を見つけ、自ら事業と繋げ、営業をしかけてきた」点です。
筆者の考えですが、ここがオリックスの強みの源泉だと思います。

オリックスの事業内容は「金融」×「モノ」の専門性と言えば聞こえは良いですが、リスクをはらみます。
金融面の専門性は銀行に負け、モノの専門性はメーカーに及ばないという状況になりえるためです。
つまり、銀行とメーカーが手を組んでリース事業を展開されたら、専門性で負ける事も想像出来ます。

しかし、オリックスは自ら営業をかけてビジネスを作って行くスタイルに力を入れて来たからこそ、「モノ」×「金融」のスキルに加え、個々の営業力を兼ね備えた独自性を得る事が出来たのです。

●常にビジネスの種をみつけ、果敢に挑む挑戦心をもったカルチャー
オリックスはリース事業から派生し、エネルギーや不動産など多岐に渡るビジネスに果敢に挑戦してきた歴史を持ちます。
特にリース事業に近いところから、先述の営業力を用いて、少しずつビジネスの軸足をずらしながら時代とともに企業としての形を変化させました。
変化の激しい世の中において、このように柔軟に変革を続けてきたからこそ、日本と代表する企業として現在も社会貢献を行っています。

●時代の流れを読んだM&A戦略
オリックスは世の中の動きを敏感に察知して事業を買収してきました。
例えば、これらは「SaaSビジネスの流れが来る!」「ESG投資やSDGs投資の重要性からエネルギービジネスのチャンスが広がる!」というような大きな動きから自社の買収戦略を組み立てています。
一例を上げると、2014年にはSaaS会計ソフト会社の「弥生」を約800億円で買収し、2021年に2400億円で売却を行いました。
オリックスはこのように時代に合わせて事業の投資・売却を行って来たことから、「単なるリース会社」ではなく、「事業投資会社」として成長を遂げる事ができました。

[参考]
オリックスが会計ソフトの弥生をKKRに売却、2400億円-関係者 – Bloomberg

オリックスの弱み

オリックスの考えられる弱みは以下の通りです。

・リース事業は「モノ」を所有するため、税金やリスクがかかる
・金融危機に直接的なダメージを受けてしまう
・金融面では銀行に負け、営業力では商社に負け、モノの知識ではメーカーに負けるという、どっちつかずな状況になりえる。
・幅広い事業領域ではあるが、圧倒的強みを持つ領域がない。
・顧客の発想がUberやエアビーなどに代表される「シェア」に移っている現代において、「借りる」ビジネスモデルが衰退する可能性がある
・海外売上比率は一定あるものの、社内で海外で活躍できる人材がおらず、現地の従業員にまかせてしまっている。
・時代の流れを読んだM&Aを行うことができるが、買収後の事業経営がうまくない。

筆者が特に感じるオリックスの課題点は、「時代の流れを読んだM&Aを行うことができるが、買収後の事業経営がうまくない。」点です。
例えば、会計ソフトの弥生売却について、オリックスは弥生を800億円で買収し、7年間後に2400億円で売却しました。
しかし、弥生の競合他社は時価総額3000億円を超えていました。
つまり事業が成長市場であった為、時価総額が大きく向上したものの、業界内の競争で圧倒的に勝つことはできませんでした。
筆者はここで、オリックスは「良い目利きで買収したものの、うまく育てきれなかった」印象があります。
他には、ジェネリック医薬品企業の小林化工を買収したものの、買収後に医薬品の健康被害や経営陣によるガバナンス不良が次々と明らかになり、事業を譲渡することとなりました。
これは、ジェネリック医薬品業界にビジネスチャンスを見込んだものの(この判断は正解)、買収した企業の不正についてはうまく対応することができなかったと考えられます。
M&Aの際は、買収対象企業の調査をかなり綿密に実施するものですが、実情は非常に判断が難しいです。
今後もオリックスが事業投資で成長を続けるには、この「企業を見る目」や「事業を伸ばす力」がより問われて行くと考えられます。

さらに詳細なオリックスの事業の課題について知りたい方は、オープンワークをご覧ください。

総論としては、事業の可能性は幅広いものの、経済状況の影響をかなり受けるため、リスクを孕みます。

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オリックスの株価推移(5年間)

上記の株価推移からもわかるようにコロナショックの影響を大きく受けています。
現時点ではかなり株価が回復したものの、今後も金融危機等ノ市場環境に大きく左右されると考えられます。

オリックスが今後注力する領域とは

オリックスは、2021年3月期の決算発表によると、注力分野は「環境エネルギービジネス」「プライベートエクイティ投資」「アセットマネジメント事業」「物流投資/データセンター」と記載があります。
特に「環境エネルギービジネス」について、最も詳細に記載していることから、環境エネルギービジネスを中心に戦略を立てていることがわかります。
「環境エネルギービジネス」に関する内訳をまとめると下記になります。

・本格的に欧州の再生可能エネルギー事業の開発に着手
・日本国内にて、太陽光発電事業者として約870MWの発電所を稼働済み
・2018年6月に太陽光発電所の運営管理を専門とする子会社を設立 
・これまでは、当社保有のメガソーラー発電施設を運営管理、2022年3月期より第三者所有の発電所へサービス提供開始

https://www.orix.co.jp/grp/pdf/company/ir/library/presentation/Presentation_2021_4QJ.pdf

近年、再生エネルギーに関するニュースが多く報道されていますが、オリックスはその流れにしっかりと乗り、投資を行って来ました。
特に、再生可能エネルギーが普及している欧州の事業に投資し、同時に国内でも事業を展開しています。
今後はオリックスがハブとなって、欧州のエネルギー事業者が日本国内への事業進出をする際に、協業することも当然考えられます。
ただし、同様の事業はオリックスだけでなく、総合商社も行っている為、今後どのように総合商社等との競争に勝つのかは、不透明です。
オリックスは投資家目線で、合理的と思われる投資判断を行っている為、株主からも理解を得られやすいです。
一方、この再生可能エネルギーの戦いに敗れると大きく企業価値を棄損する可能性もあります。
ホットな市場環境であるからこそ、投資するだけでなく、事業を創っていく力が試されていると思います。

※オリックスはあくまで事業投資の観点で、エネルギービジネスに投資しています。「エネルギービジネスがしたいからオリックスに入りたい!」等は、あまり志望動機としては優位性が無いためご注意ください。(純粋にエネルギーに携わりたいならば、エネルギー事業者を志望するべきです。)

オリックスが求める人材

オリックスの求める人材像は以下の3つです。
①Creativity(発想力)
②Challenge(挑戦力)

③Team Play(巻き込み力)
※オリックスHPより引用

大手企業人事の私から見て、この人材像は他の大手企業と大きく変わりません。
つまり、上記の3つを抑えたガクチカを作ることができれば、オリックスのみならず大手企業に内定が出やすいガクチカとなります。

ここから詳細を解説していきます!

①“Creativity”
~絶えず新たなビジネスを自ら創り出す人材~

ここでアピールすべきなのは、
・固定観念に囚われない柔軟性
・アイデアを作り、提案、実行まで行う企画力
などです。

ガクチカでは、「なぜその行動を起こしたのか」「なぜその企画を作ったのか」など、思考の深さや物事の見方を見られる可能性が高いです。

この思考の深さや物事の見方を鍛えるには、他の学生が素通りするような問題を見て、自分なりの考えを持つ癖が必要です。

この癖をつけるには日頃のニュースを見て、自分なりに考えをまとめる練習が効果的です。

②“Challenge”
~「高い専門性」を身につけ、「チャレンジ」し続けられる人材~

ここで鍵になるのは「高い専門性」の部分です。
「チャレンジ」については、多くの学生がガクチカに記載するので、特段差がつきにくいと考えられます。

よって、「特定の分野を極めたい!」「プロフェッショナルとして生きていきたい!」という意欲的な姿勢を見せることが大切です。

また、大学時代に学問で優秀な成績を収めたことや、特定の分野に特化してアクションを起こしてきた経験も高評価が得られると思います。

上記をアピールすることで、「高い専門性を得てチャレンジし続けられる人材」であることをアピールしましょう。

③“Team Play”
~多様な価値観を認め、周囲を巻き込みながら主体的に行動できる人材~

これはどの会社にいっても必ず活きる力です。
チームプレイと聞くと仲良くワイワイやっていく感じを想像するかもしれませんが、オリックスで求められているTeam Playとは異なります。

ここで必要なのは、主体的に人を巻き込む力です。

①②と合わせて
自らの企画を考え、チャレンジをし、人を巻き込んでいく姿勢を見られています。

価値観が合わない人とでも、互いを認め合いながら、自らの足で挑戦できる人材であるのか、問われているのです。

ぜひ、自分が主として行動してやり遂げたエピソードでアピールしてみましょう!

面接で聞かれる想定問答

オリックス志望者は必ず下記想定問答を考えてから面接に望みましょう。
たとえこの記事を読んだのが面接の前日だとしても、必ず考えて下さい。
企業は必ず採用の際に、自社がほしい「人材像」を決定しています。
そのため、適性検査で最低限の学力で足切りした上で、上記の「求める人材像」に当てはまる学生から採用していきます。
少しでも適切なアピールができるように、想定問題を見てください。

想定質問
・学生自体頑張ったことを教えてください。
・なぜそれを取り組んだのですか?
・これまでで最も困難だったことを教えてください。
・どうやってその困難を乗り越えたのですか?
・なぜその解決策に至ったのですか?
・その他の解決策は検討しましたか?
・もう一度その困難にチャレンジするとして、期間が半分しかないならば、どのように工夫しますか?
・なぜ金融業界を志望していますか?
・なぜオリックスを志望していますか?
・なぜ銀行ではないのですか?
・なぜ、メーカーや不動産ではないのですか?
・今朝のあのニュースを見てどう思いましたか?
・あのニュースをみて、もしあなたならどうしますか?
・あなたが作った企画を教えてください
・これまでで人を巻き込んで達成したエピソードを教えてください。
・これからどんな社会人になりたいですか?
・そのためにどんな専門性を獲得したいと考えていますか?

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